畳部屋からフローリングへのリフォームで、特にマンションにお住まいの方が最も気をつけなければならないのが「防音対策」です。畳が持つ天然の優れた吸音効果が失われるため、子供が走り回る音や、スリッパで歩く音、物を落とした時の音などが、想像以上に階下に響いてしまう可能性があります。これが原因でご近所トラブルに発展するケースは少なくありません。こうした事態を避けるために、リフォーム計画の段階から、しっかりとした防音対策を講じることが不可欠です。まず、リフォームを始める前に、必ずマンションの管理規約を確認しましょう。多くのマンションでは、床材の遮音性能について「L値(エルち)」という基準が定められています。例えば「L-45以下の床材を使用すること」といった具体的な規定がある場合、これをクリアする製品を選ばなければ工事の許可が下りません。このL値は、数字が小さいほど遮音性能が高いことを示します。フローリング材を選ぶ際には、デザインや価格だけでなく、この遮音等級を必ずチェックしてください。現在では、フローリング材の裏側に特殊なクッション材が貼り付けられ、高い遮音性能を持つ「防音フローリング」が数多く販売されています。リフォーム業者に相談し、管理規約に適合した製品を選んでもらうのが最も確実です。また、フローリング材自体の性能に加えて、下地工事の段階で防音対策を施すことも非常に効果的です。フローリングの下に、ゴムやフェルトでできた「防音マット」や「遮音シート」を敷き込むことで、音の伝達をさらに軽減することができます。リフォーム後の対策としては、やはりラグやカーペットを敷くのが最も手軽で効果的です。特に、人がよく歩く動線や、子供が遊ぶスペースに敷くだけでも、音の響きは大きく変わります。また、家具の脚にフェルトを貼ったり、スリッパを音の出にくい素材のものに変えたりといった、日々の小さな工夫も大切です。防音対策は、自分たちの快適な暮らしのためだけでなく、隣人との良好な関係を保つための重要なマナーなのです。
フローリング化した部屋の防音対策