「もう一部屋あれば、暮らしがもっと豊かになるのに」。そんな願いを、最も理想的な形で叶えることができるのが「増築」によるリフォームです。増築とは、既存の建物の骨組みに新たな構造物を付け加え、建物の床面積そのものを増やす工事のこと。敷地に余裕があるという条件付きですが、他の方法では得られない多くのメリットがあります。増築の最大の魅力は、なんといっても「完全に新しい空間」をゼロから創り出せることです。既存の間取りを分割するのとは異なり、部屋の広さや形、窓の位置や大きさ、天井の高さなどを自由に設計できるため、理想通りの部屋を実現できます。例えば、庭に面して大きな窓を設けたサンルームのような趣味の部屋や、吹き抜けのある開放的なアトリエ、あるいは親世帯との同居を見据えたミニキッチン付きのプライベートな居住空間など、夢は大きく広がります。また、増築は既存の住空間への影響を最小限に抑えながら工事を進められるという利点もあります。工事の大部分は家の外側で行われるため、住みながらのリフォームでも、騒音やホコリ、職人の出入りによるストレスが比較的少ない傾向にあります。工事の最終段階で、既存の建物との壁を壊して接続するだけなので、日常生活への支障が少なくて済むのです。ただし、増築リフォームを計画する際には、いくつかの重要な注意点があります。最も重要なのが「建築基準法」をはじめとする法的な規制です。それぞれの土地には、敷地面積に対する建築面積の割合(建ぺい率)や、延床面積の割合(容積率)が定められており、増築によってこれらの上限を超えてしまうことはできません。また、建物の高さ制限や、隣地との境界線からの距離(斜線制限など)といった規制もあります。これらの法規制をクリアできるかどうかは、計画の実現可能性を左右する最初の関門となるため、必ず専門家である建築士やリフォーム会社に確認してもらう必要があります。さらに、既存の建物と増築部分の「接続」も非常に重要なポイントです。構造的な接続が不十分だと、地震の際に異なる揺れ方をし、建物全体に大きなダメージを与える危険性があります。また、接続部分の防水処理が不適切だと、雨漏りの原因となります。
敷地に余裕があるなら「増築」で部屋を増やす