数多くの現場で壁紙の張り替えや補修に携わってきたプロの職人は、DIYによるひび割れ補修について、意外にも肯定的です。「多くのひび割れは、生活の中で当然起こるもの。その都度プロを呼ぶのは現実的ではないし、自分で直せる技術を持っておくことは素晴らしいことです」と語ります。プロが教える秘訣の一つは、補修剤の出し方にあります。チューブの先端をカットする際、できるだけ細く斜めに切ることで、ひびの深くまで剤を届けやすくなり、同時に周囲への無駄な付着を防ぐことができます。「道具を自分の手の一部のように馴染ませること。それが一番の近道です」という言葉には重みがあります。また、拭き取りに使うスポンジの管理についても、プロならではのこだわりがあります。スポンジは常に清潔で、水気を適度に含んだ状態を保つことが不可欠です。汚れたスポンジで拭き取ると、壁紙の凸凹に剤が広がり、乾いた後に白っぽく汚れて見えてしまうからです。こまめにバケツの水ですすぎ、常に新しい面で拭き取ることが、透明感のある仕上がりを生みます。さらに職人は、補修のタイミングについても言及します。「乾燥が激しい冬場はひびが最大に開き、湿度の高い夏場は逆に閉じることがあります。補修を行うなら、ひびが最も開いている時期に行うのが理想的です。そうすれば、季節が変わっても隙間が目立つことが少なくなります」。このような気候の変化まで考慮した視点は、DIY愛好家にとっても非常に有益な情報です。プロの技をすべて真似することは難しくても、その思考プロセスや道具へのこだわりを少しでも取り入れることで、自分の作業の質は格段に向上します。壁紙のひび割れ補修は、単なる作業ではなく、住まいとの対話です。プロの知恵を借りながら、一歩ずつ自分のスキルを高めていく過程を楽しんでほしい、というエールが聞こえてくるようです。日々の暮らしの中で見つける小さな傷を自分の手で癒やすことは、住まいを整える喜びの一つとなります。
壁紙補修のプロに聞く自分で行うひび割れ対策のコツ