長年住み慣れたリビングの壁紙が、いつの間にか黄ばみ、角のほうが少し剥がれていることに気づいたのは去年の秋のことでした。業者に見積もりを依頼してみたものの、想定以上の金額に驚き、思い切って自分でリフォームすることに決めました。DIYの経験といえば棚を組み立てる程度で、壁紙を貼るなんて自分にできるだろうかと不安もありましたが、結果から言えば、それは私のこれまでの住まいに対する意識を大きく変える素晴らしい体験となりました。まず最初に取り組んだのは、ネットで「生のり付き壁紙」を注文することでした。部屋の一面だけをアクセントカラーにするために、落ち着いたネイビーの壁紙を選びました。届いた壁紙は予想以上に重く、作業を始める前は圧倒されましたが、実際にハサミを入れて壁に当ててみると、意外にもスルスルと作業が進んでいきました。一番の苦労は、やはりスイッチプレートやコンセント周りの処理でした。カッターで切り込みを入れる際に、切りすぎてしまわないか手が震えましたが、少しずつ慎重に切り進めることで、なんとか綺麗に収めることができました。また、壁紙の間に空気が入ってしまい、ポコポコと膨らんでしまったときには絶望的な気持ちになりましたが、撫でバケで中心から外側へ向かって優しく空気を押し出していくと、魔法のように壁に吸い付いていく感覚があり、それが快感に変わっていきました。丸一日かけて作業を終え、道具を片付けてから少し離れて壁を眺めたとき、そこには自分の知っている古いリビングではなく、まるでお洒落なカフェのような洗練された空間が広がっていました。業者に頼めば数時間で終わった作業かもしれませんが、自分で苦労して貼った壁紙には、一箇所一箇所に自分の努力が刻まれており、家に対する愛着が以前の何倍にも深まりました。完璧な仕上がりとは言えないかもしれませんが、少しの隙間や歪みも、自分の手で作った証だと思えば愛おしく感じられます。このリフォームを機に、私は家の他の場所も自分の手で少しずつ直していく楽しさに目覚めました。DIYは単なる節約術ではなく、自分らしい暮らしを手に入れるための最も身近な手段なのだと、身をもって実感した出来事でした。