何十年もの間、町のサッシ屋として網戸と向き合ってきた私がお伝えしたいのは、網戸のはめかたには技術以上に心構えが大切だということです。網戸をはめる際に一番やってはいけないのは、焦ることです。無理矢理レールに乗せようとして、アルミを傷つけたり戸車を破損させたりする人をたくさん見てきました。極意と言えるほどのことではありませんが、大切なのは網戸を水平に保つこと、そして網戸の重さを全身で感じながら、レールとの相性を確かめることです。はめかたの手順として、まずはレールに沿って網戸を運び、上が入った瞬間のふっと軽くなる感覚を逃さないでください。その瞬間に、下の戸車をレールの上に置く。指で戸車をそっとガイドしてやれば、道具を使わなくても簡単に入ります。また、長持ちさせるためのアドバイスとしては、はめた後に必ず戸車の高さを調整して、ガタつきをゼロにすることです。ガタついたまま使っていると、戸車が偏摩耗して寿命が縮まるだけでなく、レールのアルミまで削ってしまうのです。網戸のはめかたを覚えるついでに、ネジを一回回す手間を惜しまないでください。もう一つ、意外と知られていないのが、網戸の左右の定位置です。網戸は基本的には室内から見て右側の窓、つまり手前にある窓の裏側に配置するのが最も隙間ができにくい構造になっています。反対側にはめると、窓を半分開けたときに必ず虫が入る隙間ができてしまう。これを知っているだけで、網戸の価値は二倍にも三倍にもなります。網戸は消耗品だと思われがちですが、正しいはめかたと手入れさえ知っていれば、二十年、三十年と使い続けることができる相棒です。季節が巡り、窓を開けて新しい空気を入れようとしたとき、網戸が音もなくスッと動く。その小さな喜びが、日々の暮らしの質を高めてくれると信じています。もし自分ではどうしても上手くいかないときは、いつでも私たちのような職人を頼ってください。プロのはめかたを一度見るだけでも、次からの作業がずっと楽になるはずです。