住まいを長く大切に使っていると、どうしても避けて通れないのが壁紙のトラブルです。特に、部屋の隅や窓枠の周囲、壁面の中央部分に突如として現れる細い筋のようなひび割れは、多くの住人を悩ませる問題です。この現象の多くは、建物の微細な揺れや木材の乾燥収縮、あるいは下地となっている石膏ボードの継ぎ目が動くことによって引き起こされます。決して施工ミスや欠陥とは限らず、四季の変化がある日本の住宅では極めて一般的な現象と言えるでしょう。しかし、放置しておくと見た目が悪いだけでなく、そこから湿気が入り込み、壁紙の剥がれを助長することにもなりかねません。そこで有効なのが、DIYによる補修です。自分で直す際に最も重要となる道具は、ジョイントコークと呼ばれる壁紙専用の充填剤です。これはチューブ状の容器に入った水性の樹脂剤で、壁紙の色に合わせてホワイトやアイボリー、ベージュなど多くの色が展開されています。まず補修を始める前には、ひび割れの部分に溜まったホコリを掃除機やブラシで丁寧に取り除くことが大切です。汚れが残っていると充填剤の密着が悪くなり、すぐに剥がれてしまう原因になります。清掃が終わったら、ひび割れに沿ってジョイントコークを薄く慎重に流し込んでいきます。このとき、一度に大量に出しすぎないのが美しく仕上げるコツです。充填した後は、指先や湿らせたスポンジで表面を優しくなぞり、溝の中に剤を押し込みつつ、はみ出した余分な剤を拭き取ります。この拭き取り作業を丁寧に行うことで、補修した箇所が周囲と馴染み、乾燥後にはどこにひび割れがあったのか分からないほど綺麗に仕上がります。もし、ひび割れが大きくて充填剤だけでは埋まらない場合は、壁紙補修用のパッチや補強テープを併用することもありますが、大抵の細いひびであればジョイントコーク一本で十分対応可能です。自分で手を加えることで家に対する愛着も深まり、業者に依頼するコストも抑えられるため、気づいたときに早めに対処する習慣をつけると良いでしょう。
壁紙のひび割れを自分で直すための基本手順と道具