「広告では六畳十万円からと書いてあったのに、実際に見積もりを取ったら二十五万円と言われた」という不満は、リフォーム業界ではよく聞かれる話です。なぜこのような差が生じるのか、現場を知る業者の視点からその真実をお話しします。まず、安価な広告価格の多くは「材料費のみ」であったり、最も安いクッションフロアというビニール製の床材を想定していたりすることがあります。クッションフロアは確かに費用を抑えることができますが、見た目の質感や耐久性はフローリングとは全く別物です。本物の木を使ったフローリングを希望する場合、その時点で材料費は二倍以上に跳ね上がります。また、下地工事をどこまで丁寧に行うかも費用の分かれ目です。畳を剥がした後の床板に直接薄い合板を貼り、その上にフローリングを貼るだけの簡易的な工事であれば安く済みますが、これでは将来的に床がたわんだり、歩くたびに不快な音が鳴ったりするリスクが高まります。私たちが推奨する根太を組んで高さを合わせる本格的な工事は、それなりの手間と時間、そして材料がかかりますが、それが二十年、三十年と持つ床を作るための必須条件です。さらに、意外と大きな落とし穴となるのが家具の移動費用です。六畳の和室にピアノや重いタンスがある場合、それを別室に移動させ、工事完了後に戻す作業には人手が必要となり、人件費として数千円から一万数千円が加算されます。また、古い畳の処分費についても、最近の廃棄物処理法の厳格化により、運搬費を含めて年々上昇傾向にあります。一部の格安業者の中には、こうした処分費を見積もりに含めず、後から高額な請求をしてくるケースもあるため、注意が必要です。見積もりを比較する際は、単に総額の数字だけを見るのではなく「下地調整はどの工法で行うのか」「家具の移動費や養生費、畳の処分費はすべて含まれているか」を細かく確認してください。信頼できる業者は、安さだけを強調するのではなく、なぜその費用が必要なのかを構造的な根拠を持って丁寧に説明してくれます。適正な費用をかけることは、家という大切な資産の価値を守り、将来的な修繕コストを最小限に抑えるための賢明な投資なのです。
リフォーム業者が語る畳をフローリングに変える費用の真実と落とし穴